選択による選択的シングルマザーへの認識の高まりは、パートナーを探すより先に子供を持ちたい人々の道を開く

チクタク時を刻む時計。ずいぶん時代遅れになった言い回しだが（スマートウォッチやスマートフォンがチクタク鳴る時計にかなり取って代わった）、生物学的な時計は、未だに特定の年齢、少なくとも子供を持ちたいと思っている多くの選択的シングルマザーに、チクタクと時間が迫っていることを告げて悩ませている。2019年のPewの調査研究によると、子供を持ちたいという願望は、あいかわらず人々が結婚をしたい理由の一つであり、調査対象者のうち49パーセントが、「とても重要」な要因であると答えている。 　しかしながら、親になるためにパートナーを持つことは必ずしも必要でないという認識の高まりが、この話に変化をもたらしている。それは、「時を刻む時計」が話題に上るよりずっと早い20代で、選択により選択的シングルマザーとなった女性も含んでいる。2021年の春、性と生殖の健康に関するサービスを提供する会社Modern Fertilityと結婚式登録ウェブサイトのZolaが数千人の大人を対象に、結婚および子供を持つ予定について調査し、回答者のうち27パーセントが、「親になるためにパートナーを持つ必要はない」という記述に賛成と答えた。研究者にとって、これは子育ての道として「選択による選択的シングルマザー」がより受け入れられてきたことを示している。 　パートナーなしで親になることを選んだ人々およびこの分野の研究者へのインタビューは、この主張をサポートするだけでなく、このグループへの認識がどのように選択に関する汚名を無くすのに役立っているかを明らかにし、この視点を通して、選択して選択的シングルマザーになることが実際にどのようなものなのか、他の人に知る機会を与えている。結婚する前に子供を産むこと、あるいは関係を持つことさえタブーとして見られるような状況にいる多くの人々にとって、これは特に目を見張るものになり得るし、潜在的に人生を変える可能性がある。 パンデミックが引き起こし、容易にした決定 　ケリーは38歳で、現在妊娠5カ月だ。親になりたいとは長年考えてきたことで、彼女はこのパンデミックの間に、それを叶えるため積極的に行動することを決めた。「COVID-19の間、ひとりの時間がとても長くなって、より真剣に考える時間ができたんです。」彼女は言う。「パンデミックの前はスケジュールがいっぱいで、自分のためにゆっくりして、自分が本当に欲しいものは何か、そのためには何をしたらいいのか考える時間がありませんでした。」 　ケリーは将来的にはパートナーが欲しいと考えている一方で、自分に合う人が見つからないことで、母親になるという自分の夢を先延ばしにしないと決めた。彼女は、パートナーなしで子供を持つことができるあらゆる方法を調べた。それは、体外受精（IVF）や、養子縁組、里親（実親が事情により子供を育てられない場合に、一時的に他の大人が子供の世話を担うこと）を含む。最終的に、彼女は体外受精での出産を目指すことに決めた。「生物学的につながりのある子供と家族になることに強いこだわりがあったんです。」彼女は言う。体外受精のプロセスに専念するための十分な資金を持っていたことも、それを決めた要因だった。彼女の希望を友人や家族に話せば話すほど、選択による選択的シングルマザーになることは、彼女の周りでもそんなに珍しいことじゃないことがわかった。「友人の何人かは、実際にこの方法で母親になることから家族を始め、その後でパートナーを探しています。」彼女は言う。「いつも普通とは逆だと思ってきたけど、実際どのようなものなのか見てみると、本当に決意が固まりました。」 　ケリーの次のステップは、彼女にとって体外受精が選択肢となり得るのか相談するために、Modern Fertilityの不妊治療スペシャリストの面談の予約を取ることだった。「女性として、生殖能力は毎年の婦人科で[通常]チェックされるものとは違っているし、自分の生殖能力がどんなものかなんて考えもつきませんでした。」彼女は言う。面談で彼女は、生物学上の子供を持つことが彼女の本当に望むことであるならば、遅いより早いほうが良いということがわかった。それで、彼女は前進することを決めた。「オフィスでスーツを着ながら薬を注射するよりは、レギンスを履いて在宅で仕事をしたほうが、確実に体外受精のプロセスが簡単になりました。」と彼女は話す。 　ケリーは、友人や家族が、選択的シングルマザーになるという彼女の決定をとても応援しサポートしてくれたと言う一方、COVID-19による制限で、彼女はプロセスの大部分をひとりで経験することになった。麻酔が必要な処置のあと、母親が病院まで迎えに来てくれたが、ケリーは採卵の準備をするために必要な薬を自分で注射した。採卵と受精した胚の移植にもひとりで臨んだ。 　「『自分が本当にやっちゃうなんて』な瞬間は、胚移植でした。」ケリーは言う。「プロセスの始めは採卵で、私はそれを、自分のための選択肢だとして見ていました。卵は、冷凍庫にお金を払って保存しておきたいと思う限り、どれだけ長い期間保存しても構いませんでした。それから受精させた後、子宮に移します。もしうまくいけば、わたしは妊娠することができます。それはとてもリアルな瞬間でしたが、恐れおののいたわけではありません。心配ではなく、新しい自分の家族を始めることに興奮していました。」 　ケリーにとって、パンデミックの最中に体外受精について考える時間が持てたことは、彼女がひとり子育てへ踏み出すにあたって、重要な役割を果たしたといえる。しかし、彼女が言うように、彼女は一緒に落ち着くための完璧な人が、まず見つかることを待つのに疲れていた。そして、多くの人が同じように考えている。簡単に言えば、デートは難しいのだ。Pewの調査研究によると、75パーセントの独身男女が交際はとても難しいと答えている。交際相手を探している独身男女のうちの3分の2が、交際生活はあまりうまくいっていないか、全くうまくいっていないと答えている。 　このデータとMattesの観察が示すように、より多くの人が一緒に子供を持ちたいと思えるパートナー探しに苦労している。彼らはまた、選択して選択的シングルマザーになることがどのようなものか、その実例を見ている。その二つが組み合わさることで、我々が思う親子関係に変化が訪れているのだ。

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